小豆飯に正体を現した鱈の若者
どんな伝承か
昔、気仙の或る所に小さな殿様があり、一人の美しい姫を持っていた。姫が年頃になると、毎夜どこからか美男の若者が通って来て、泊まっては翌朝帰って行くのであった。姫が、お前様はどこのお方か明かしてくださいと頼んでも、若者はついに口を利いたことがなかった。そこで侍女が怪しんで、或る夜小豆飯を炊いて食わせたところ、若者は食いはしたが、翌朝見ると死んでいた。その正体は鱈であったという。鵜住居村の大町という老人から聴いた話として記されている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。