恩を仇で返した人間と蛇狐の報恩
どんな伝承か
或る大津波があったとき、旅人が波にもまれる人間を助け、次に溺れかけた蛇を、さらに狐を助けて連れ立って旅を続けた。或る威勢のよい長者の国に着き、その館に泊まると、元来医者であった旅人は、医者のいないその国で病人を治し、人々に敬われて多くの贈物を得た。助けられた人間はそれを妬み、あの者は魔法使いだと讒言したので、旅人は牢に入れられた。憤った蛇は長者の踏台の下に隠れて足に噛みつき、狐は卜者に化けて、治せるのは牢の医者だけだと告げた。旅人が薬をつけると傷は癒え、代わりに讒言した人間が牢に入れられた。人間が一番恩知らずだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。