和尚に習った文句で退いた盗人
どんな伝承か
或る所に、物は分からないが正直な親子三人が寺の門前に住んでいた。或る時、親父が銭百文を持って和尚の所へ行き、何でもよいから話を教えてくれと頼むと、そろりそろりと来たわいな、とだけ教えられた。次に母親が同じように頼むと、そのままそこに立っている、とだけ教えられ、息子が頼むと、その者逃がすな追いかけろ、ずってんずってん、と教えられた。親子は毎日それを繰り返して語っていた。或る夜その家へ泥棒が入ると、父親、母親、息子が順にその文句を唱えたので、泥棒は気味悪くなり、慌てて一目散に逃げて行ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。