京と田舎の法螺吹き較べ
どんな伝承か
京のテンポ(法螺吹き)が田舎のテンポのもとへ嘘の吹き較べに出かけると、家には童子が一人で留守番をしていた。父はどこかと問えば、須弥山が崩れるというので麻殻を三本持って走って行った、母は海の水が越えるというので鍋の蓋を持って走って行ったと答える。京のテンポは内心舌を巻きながら、奈良の大仏の釣鐘が風に飛ばされたと聞かぬかと問うた。童子は、三日ほど前にこの梨の木へ大きな釣鐘が飛んで来て引っ懸かり、半日ゴモンゴモンと唸っていたが、また飛んで行ったと答えた。子でさえこれほど吹くなら親には敵うまいと、京のテンポはすごすごと立ち去った。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。