額に生えた柿の木と甘酒
どんな伝承か
或る所の男が観音堂に七日七夜籠もって願をかけると、満願の日に観音が夢枕に立ち、明朝坂を下りて最初に目についた物を大事に持って行けと告げた。坂道に落ちていたのは一粒の柿の種で、押し頂いた拍子に額へ貼り付いて離れなくなった。やがて種は根づいて芽を出し、額の上で柿の大木となって実をつけたので、男は柿売りとなって儲けた。町の柿売りに妬まれて木を伐られると切株から茸が生え、茸を掘り取られると今度はその穴から甘酒が湧き出し、男はそのたびに町へ出て売り歩き、大金を儲けたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。