柿を欲した下女と赤い男
どんな伝承か
昔、或る家に奥さんと下女がいた。井戸端の柿の木に甘そうな実がなっており、下女はそれが食べたくてたまらなかった。或る晩、表の戸を叩いて開けろと言う者がある。誰もいないからと断ったが、しつこく言うので恐る恐る開けると、背の高い真っ赤な色をした男が立っていた。下女が青くなって震えていると、赤い男は室の中へ入って来て串を持って来いと言う。持って行くと、俺の尻をえぐれと言い、震えながらえぐると、なめろなめろと言って帰って行った。下女がその串を舐めると、とても甘い柿の味がした。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。