嫁に行きたい婆と娘の一言
どんな伝承か
或る所にたいそう年を取った婆様がいた。この婆様を嫁にもらえないかと仲人が来たところ、家の者は、うちの婆様は目も見えないし縁談は無理だと断った。すると婆様は、これこれこの餓鬼どもが、向かい山の頂上で赤蟻と黒蟻が相撲を取っているのが、お前たちには見えないのかと言った。其の二では、年頃の娘に仲人が来たとき、家では、うちの娘はまだ何も知らない子供だからと断ったところ、娘はわざわざ仲人の前へ出て来て手をあおぎながら、今朝の寒さときたら、十九になるけれども手が冷たいと言ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。