赤沢の山女が授けた黄金
どんな伝承か
太田村の西山の奥に赤沢という所がある。昔この沢で草分けを業とする二人が、金の在処を尋ねて山奥へ分け入った。ある日、腹痛で小屋に残った若い方のもとへ十六七に見える娘が来て、唄を聴かせてくれとせがみ、以後たびたび訪れて酒や菓子を持参した。同僚に見つかると、娘は金の在処を教えると言い、四十の男には伯母だという女をあてがって、四人で山中に楽しく暮らした。里へ帰ると告げた二人は谷川の水上の朴の木の下から黄金を掘り出したが、道々女たちを魔性と語ると荷は軽くなり、家で下ろすとただの赤土であった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。