三右衛門の家の老婆と狼の山鳥
どんな伝承か
昔、三右衛門という家があった。ある朝早く戸を叩く音がしたが、誰かと尋ねても返事がない。不審に思った家の老婆が戸を少し開けてみると、狼が一匹、口を開けたまま立っていた。骨を取ってくれという様子だったので、肝の据わった老婆は、噛みつくなよと言い聞かせて骨を抜いてやった。その翌朝、外で物音がするので起きて出てみると、山鳥が一羽置いてあった。前の朝の礼に狼が獲ってきたのだろうと語られている。
原典より
何か音がするからってそてぇ(外へ)起きてみたら、そしたら、そけぇ(そこへ)山鳥が1羽あったちゅうだ。—— 向原の民俗 上――昔話・伝説・怪異(民俗調査報告 第9号・第10号・民俗調査報告) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
向原の民俗 上――昔話・伝説・怪異(民俗調査報告 第9号・第10号・民俗調査報告)
『向原の民俗 上――昔話・伝説・怪異』は、民俗調査報告の第九号・第十号にあたる向原の民俗誌の上巻から、「IX 口承文芸」の章を収めたものである。昭和五十六年から五十七年にかけて向原の話者から聞き書きした昔話十一話、伝説二十四話、天狗や狐、河童、ヒトダマをめぐる世間話二十七話のほか、富士山や天気の諺と暮らしの方言を収める。昔話・伝説・世間話の節ごとに題名・分類・話者の生年・採集日の表を置き、話は土地の言葉のまま書き起こして話者名を添える。