キツネの嫁入り
どんな伝承か
ある古老の話である。近頃はキツネやタヌキに化かされたという話は聞かないが、五、六十年前まではしょっちゅうあった。隣の権兵衛どんのせがれも、ドジョウぶちに行って化かされ、一晩中田んぼの中を「おおこわい、おおこわい」と言いながら這いずりまわって、泥だらけになっていたという。あの頃は殿里の方から田中のあたりにかけて、よく狐の嫁入りが見られた。ぼやっとした小さな灯が、ときには十から二十ほども出て、先頭の灯が消えたと思うと後の方にパアッとついたりして、行ったり来たりするのだった。何となく薄気味悪かったという。
原典より
「近頃はキツネやタヌキにばかされたという話は聞かねえが、今から五、六十年前の頃まではしょっちゅうあったんだけどなー」、「おらげの隣の権兵衛どんのせがれなんかもドジョウぶちにいってだまされちゃってな、一晩中田ん中をはいずり…—— 土浦市史 民俗編――伝説(土浦市(編)・土浦市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
土浦市史 民俗編――伝説(土浦市(編)・土浦市史)
『土浦市史 民俗編――伝説』は、土浦市が編んだ市史民俗編のうち、第一節「土浦の伝説」と第二節「ことわざ」の冒頭を収めたものである。首洗い井戸、狐の嫁入りや化かされ話、宍塚大池の大蛇、佐野子のカッパの手、弘法大師の石いもと照井、大聖寺の竜の爪、如宝寺の木食上人の入定など、市内の地名・寺社・池にまつわる伝説を、古老の話や市報から引いて記す。各話に見出しを立てて並べ、ことわざは天候・動物などの題目ごとに番号を付けて掲げる。