鈴の音が絶えた木食上人の生入定
どんな伝承か
小岩田の如宝寺の境内には「日本回国木食盛辨入定霊地」と刻んだ碑が立ち、木食上人の墓と伝わる。上人は小岩田の生まれで幼くして出家し、師を求めて諸国を巡り、山奥にこもって苦行を重ねるうち、木の実や草の実だけで命をつなぐようになった。やがて世のはかなさを感じて故郷へ帰り、生きたまま墓に入りたいと村人に頼んだ。止めきれない村人は、節を抜いた青竹を棺に通して水を注ぐので、命のある間は鈴を鳴らしてほしいと願った。享保八年四月九日、上人は鈴や錫杖を携えて入定した。鈴の音は六日目まで聞こえたが七日目に絶えた。その後、墓に詣でるとおこりが治ると評判になり、参詣の人が絶えなかったという。
原典より
村人は毎日時刻を定めて、水を青竹からそそぎ耳をあてて鈴の音を聞きました。—— 土浦市史 民俗編――伝説(土浦市(編)・土浦市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
土浦市史 民俗編――伝説(土浦市(編)・土浦市史)
『土浦市史 民俗編――伝説』は、市史の民俗編のうち第一節「土浦の伝説」と第二節「ことわざ」の冒頭を収める。首洗い井戸、狐の嫁入りや化かされ話、宍塚大池の大蛇、佐野子のカッパの手、弘法大師の石いもと照井、大聖寺の竜の爪、如宝寺の木食上人の入定など、市内の地名・寺社・池にまつわる伝説を、古老の話や市報・ふるさと運動の調査・資料館の調査・『東村誌』から引いて記す。各話に見出しを立て、ことわざは天候・動物などの題目ごとに番号を付けて掲げる。