鶏の鳴き声を後家と聞き違え
どんな伝承か
むかし、ある所に夫と死別した後家のおっかさんがいた。近所の鶏が来て庭に干しておく物をつつくので、「この畜生め、人の家さ来て、こんなに荒しあがる」と棒で追い飛ばすと、鶏は「コケコッコー」と鳴いた。おっかさんはそれを「ゴケコッコー」と聞き、逃げながら自分をあざけったと腹を立てた。後日また鶏が干し物を荒らしたので、「鶏は馬鹿なもんだ、少し歩くと自分をゴケカッカと呼んで追われたことを忘れてしまう」と言ったという。鶏の声を「後家かっかあ」と聞き違えた笑い話である。
原典より
おっかさんは鶏のコケコッコと鳴くのを ゴケカッカー後家かっかあ”って自分のことを言ったと聞きちがえたって話だ。—— 壬生町史 民俗編――伝説(壬生町(編)・壬生町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
壬生町史 民俗編――伝説(壬生町(編)・壬生町史)
『壬生町史 民俗編――伝説』は、壬生町史民俗編のうち昔話と伝説の章を収めたものである。町史編さんの調査で町内の古老から集めた昔話を方言を生かして再話し、話者名を添えて動物昔話・完形昔話・笑い話・世間話に分けて並べる。伝説は吉次の墓・親抱きの松・大御堂などを動植物・歴史上の人物・塚と渕・神仏・地名に分け、地元の伝承に『郷土誌』『壬生領史略』などの文献からの引用を交えて載せ、一部の話に解説を付す。