毒を知らせに夢枕へ立った鶏
どんな伝承か
元禄の末ごろ、遠田郡涌谷町で、伊達宗重の家臣に坂本宇兵衛という者がいた。夫婦に子はなく、飼猫と鶏を可愛がっていた。ある秋の夜更け、その鶏が時ならぬのにトキをつくったので、主人は不吉だといって殺し、近くの川に捨ててしまった。その同じ夜、鶏は坂本家の菩提寺の住持の夢枕に立ち、同家の猫が主人に毒を盛ろうとしているので夜中に鳴いて知らせようとしたのに殺された、和尚から委細を伝えてほしいと告げた。翌朝、住職が訪ねると、主人はまさに汁椀を手に取ろうとしていた。そこへ猫が飛び込んで椀に何かを落として走り去る。椀の中には黒ずんだ脂が浮き、毒蜥蜴の頭が入っていた。宇兵衛は深く恥じ、鶏を手厚く供養したという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
宮城県史 民俗編(宮城県史シリーズ・昭和中期(推定1960-1970年代))
宮城の民間信仰と禁忌(宮城県史民俗編)/禁忌を破る祟りと火玉/河童・狐狸の怪/年中行事と俗信/地域の幽霊・妖怪伝承