夜の爪切りや蛇殺しを戒める禁忌
どんな伝承か
大治町には、暮らしの細かな場面での戒めが数多く伝わる。新しい履物を夜おろすな、一膳飯を食うな、ご飯をこぼすと目がつぶれる、夜に爪を切ると親の死に目に会えない、食べてすぐ寝ると牛になる、といったものである。家づくりでは寺の前や宮の裏に家を建てるな、屋敷にイチョウやシュロを植えるなとされ、夏は井戸、冬はクドに手を触れるなという。妊婦が火事を見て体に触れるとその所に赤アザの子が生まれる、産婦は日明けまで川を越えるな、葬列が途切れると近いうちに人が死ぬ、ともいう。家で蛇を殺すと祟るとも恐れられた。
原典より
夜、ツメを切ると、親の死に目に遇えない(ハッ屋、中島、西条)。—— 大治町民俗誌 下――霊と神・怪異・俗信(大治町(編)・大治町民俗誌) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
大治町民俗誌 下――霊と神・怪異・俗信(大治町(編)・大治町民俗誌)
『大治町民俗誌 下――霊と神・怪異・俗信』は、名古屋に接する尾張の大治町の民俗誌の下巻から、信仰にかかわる節を収めたものである。辻の地蔵や秋葉・津島の小祠、荒神・井戸神などムラとイエの神、天王祭り・虫送り・雨乞いなどの祈願、キツネツキ・タヌキ・天狗の神隠し・火の玉・ナンドババアの怪異を、大字ごとの聞き書きで記す。第五節から第九節までで、予兆・禁忌・まじない・民間療法を挙げる俗信の節と、高度経済成長後の信仰の変化を述べる節で終わる。