機織り女が涸らした後入川
どんな伝承か
赤崎町中赤崎に、後入川という水のほとんど流れていない川がある。今は雨が降っても四、五日たてば水がなくなるが、昔は気仙川以上に水量が豊かであったという。昔、後入川の近くに大変働き者の嫁が住み、毎日川端で機を織っていた。ある日、旅の老僧が現れ、橋が見つからないので背負って向こう岸へ渡してくれと頼んだ。嫁は機織りに忙しいと見向きもせず、渡りたいならお前が私を背負って渡れと答えた。僧は怒り、そんなに機織りが好きならいつまでも織っているがよい、ただしこの川の水は機を織るほどもなくなるであろうと言った。そのとたん、大雨のあともすぐ水が涸れる川になったという。旅の僧は弘法大師の巡礼姿であったと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
大船渡市史 第4巻(民俗編)――伝説(大船渡市(編)・大船渡市史)
『大船渡市史 第4巻(民俗編)――伝説』は、大船渡市が編んだ市史の民俗編である。この写しには、第六章「俚諺・俗信」の軽口・地口の類と、天候予知や吉凶の前兆、禁忌、呪法などの俗信、第七章「伝説・昔話」のうち伝説の節を収める。伝説は木・石、山、坂・洞穴・塚、水部、長者旧家、社寺・堂閣、地名などに分けて、五葉山や日頃市・末崎など市内各地の言い伝えを並べる。