名古屋下萱津の妖怪屋敷と雨の音
どんな伝承か
明治二十四年ごろ、名古屋市下萱津町にある広大な藪地の屋敷は住人が居着かず、いつしか「妖怪屋敷」と呼ばれるようになっていた。明治二十九年四月、その噂を聞いた河野中佐が家族とともに移り住んだ。ある名月の夜、夫人が「今夜は大雨でしょう」と言うので中佐が外に出てみると、空は晴れわたり月は冴えているのに、どこからか雨の降るような音が聞こえたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
妖怪の民俗学――日本の見えない空間(宮田登・宮田登・民俗学・1985年(昭和60年))
『妖怪の民俗学――日本の見えない空間』は、宮田登が一九八五年(昭和六十年)に著した、妖怪の現れる場所を論じた民俗学の書である。柳田国男と井上円了の妖怪論、幽霊と妖怪の違い、口裂け女と産女、皿屋敷、化物屋敷と下女、辻・橋・境の怪異、怪光と怪音、七不思議、通り悪魔と髪切りを、古文献や新聞記事、各地の伝承から読み解く。四章から成り、都市の空間に妖怪が現れる仕組みを軸に据える。