魚を置いていけと呼ぶ堀
どんな伝承か
本所七不思議の二番目に数えられるのがおいてけ堀である。釣った魚を魚籠に入れて帰ろうとすると、うしろから置いてけ、置いてけと声がかかる。二、三匹をその場に残していけば何事もないが、そのまま持ち帰ろうとすると道が分からなくなり、いつまでたっても家にたどり着けない。あるいは魚籠をひっくり返され、獲物をすべて取られてしまうという。おいてけ堀という池には主がおり、聖域の魚を奪われたことに対する人間への警告なのだと説明されてきた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
妖怪の民俗学――日本の見えない空間(宮田登・宮田登・民俗学・1985年(昭和60年))
『妖怪の民俗学――日本の見えない空間』は、宮田登が一九八五年(昭和六十年)に著した、妖怪の現れる場所を論じた民俗学の書である。柳田国男と井上円了の妖怪論、幽霊と妖怪の違い、口裂け女と産女、皿屋敷、化物屋敷と下女、辻・橋・境の怪異、怪光と怪音、七不思議、通り悪魔と髪切りを、古文献や新聞記事、各地の伝承から読み解く。四章から成り、都市の空間に妖怪が現れる仕組みを軸に据える。