羽生の桜と田村麻呂の馬
どんな伝承か
東堂山へ行く道に羽生というところがあり、そこに何百年もたった古い桜がある。昔、大滝根丸の手下が田村麻呂の娘を攫って今の釜山の鬼穴に籠った。田村麻呂はこれを退治し、今の羽生の桜のあるところまで来て馬から下り、桜の木の鞭を土に突き立てて休んだ。ところが今まで元気だった乗馬が急に倒れて死んだ。田村麻呂は愛馬を近くの東堂山に葬り、そこに勧請した観音は馬の守り仏として信仰されている。土に立てた桜の鞭はそのまま生きづいて大きくなり、それが今も花を咲かせるこの桜だと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
小野町史 民俗編――伝説(小野町(編)・小野町史)
『小野町史 民俗編――伝説』は、小野町が編んだ町史の民俗編から、第九章「ことばと伝承」の第一節「伝説」を収めたものである。田村郡小野庄にあたる町内の館主や城主の没落、坂上田村麻呂や八幡太郎、小野篁・小野小町にまつわる話、デンスケ坊の祟り、河童の恩返し、大蛇や名石・埋宝の話など五十四編を、大半は地元の人からの聞き書きで収める。村川友彦の「はじめに」と地域の特色の解説を置き、伝説を大字(旧村)ごとに並べ、語り手の名を添える。