塩漬けの魚を食う海女房
どんな伝承か
海坊主の女房だという妖怪に海女房がある。髪も目鼻も口もあり手足もそなえるが、指の間には水掻きがあって人魚に似た姿をし、たいていは子を連れて現れるという。島根の十六島では、昔から魚を桶に塩漬けにして蓄える習わしがあったが、ある日この海女房が子連れでやって来て、大桶に漬けてあった魚をぺろりと平らげてしまったと伝えられる。上半身は人のようで下半身は幽霊めいてぼやけているともいい、磯女、濡れ女の名でも呼ばれた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
暮しの中の妖怪たち(岩井宏実・岩井宏実・民俗学・1986年(昭和61年))
『暮しの中の妖怪たち』は、岩井宏實が昭和六十一年に著した妖怪の概説書である。鬼・天狗・河童から山姥、産女、雪女、怪火、ザシキワラシ、化け猫、狐狸、幽霊まで、各地の伝承や古典・絵画に見える妖怪を一つずつ取り上げ、その姿と仕業を説く。第I章で個々の妖怪を紹介し、第II章で妖怪の性格、出現の空間と時、正体を論じ、巻末に著者が資料とした妖怪の本の一覧とあとがきを置く。