抜けた歯をねずみと取り換える唱えごと
どんな伝承か
大塚町の歯にまつわる療法では、桑の木を細く削いだものを痛むところで噛み、その桑の先に灸をすえながら唱えごとをした。唱えるのはアブラオンケンソワカで、三度くり返す。医者倒しと呼ばれるアロエを患部に当てることもあった。子供の歯が抜けたときには、上の歯は縁の下へ、下の歯は屋根へ向かって、ねずみの歯と取り換えてくれと唱えながら投げるならわしであった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
島根県出雲市大塚町民俗調査報告書――俗信・憑きもの(出雲市(編))
『島根県出雲市大塚町民俗調査報告書――俗信・憑きもの』は、出雲市大塚町の民俗調査報告書のうち、「XII 村の神」の章と「XIII 年中行事」の章の冒頭を収めたものである。氏神の大歳神社の祭りと由緒書、同族神・屋敷神・屋内神、札うち、講、寺、俗信、キツネに憑かれることを「サバラレル」と呼ぶ憑きもの、民間療法を、昭和五十七年ごろの聞き書きで記す。年中行事は正月準備から一月十一日の鎌初めまでで、文の途中で切れている。