神戸の身代わり地蔵(消えた坊さん)
どんな伝承か
昔、ある家で難産に苦しむ妊婦がいた。母親の婆さんは、娘がこんなに苦しんでいるのに家が貧乏で産婆を呼ぶこともできないとおろおろするばかりで、見るに忍びず泣きながら家を飛び出し、村中を助けてくれと叫び回った。途中で出逢った坊さんが事情を聞いてくれ、一緒に行って拝んでやればすぐ無事に生まれると言うので、喜んで我が家へ急いだ。ところが宝泉寺のお地蔵さまのところまで来ると、坊さんは「もう大丈夫だから安心して帰れ」と言ってふっと消えてしまった。慌てて家に駆け戻ると出産は済み、娘の側に赤ん坊が安らかに寝息を立てていた。地蔵さまが身代わりになってくださったのかと、婆さんは手を合わせて拝んだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
川口市史 民俗編――伝説(川口市(編)・川口市史・自治体史(民俗))
『川口市史 民俗編』第4章所収の伝説。埼玉県川口市に伝わる自然・神社・地蔵・観音・薬師の伝説と命名由来を採録する。