人力車から消えた見沼の主の女
どんな伝承か
見沼の主は大蛇だといわれ、さまざまな話が残る。差間では、見沼の開発からまだ間もないころの出来事として次のように語る。客を送り届けて空の人力車で帰る車夫の前に美しい女が現れ、成田にお参りしたいので千葉まで乗せてほしいと頼んだ。快く乗せて急いだが、印旛沼の近くで急に車が軽くなった。振り向くと女はおらず、座席はびっしょり濡れて青臭いにおいが立ちこめていた。村人は、開発で住みかを失った見沼の大蛇が姿を変えて印旛沼へ移ったのだろうと噂し、それからは見沼で大蛇を見た者はいないという。
原典より
見沼の主が大蛇であるとして、さまざまな伝えを生んでいる。—— 川口市史 民俗編――伝説(川口市(編)・川口市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
川口市史 民俗編――伝説(川口市(編)・川口市史)
『川口市史 民俗編――伝説』は、川口市が編んだ市史民俗編のうち、第四章「伝説」を収めたものである。六兵塚や首塚などの塚、山・池沼・樹木にまつわる話、八百比丘尼の椿、神社・地蔵・観音・薬師の霊験、地名の由来、正月の餅を搗かない家例や蛇まつり、川口の鋳物の始まりなどを、地内の地名や家名とともに記す。自然伝説、信仰伝説、歴史伝説の三節に分け、節の中を塚・山・池沼などの項に立てる。