神がかりの言葉で掘り出された不動尊
どんな伝承か
神戸の中谷というところにお不動さまが祀られており、土地の人々はこれを掘り出し不動と呼ぶ。七、八十年前、村の若い衆が寄り合いの酒の座興に、巫女が神がかりするというのは本当だろうかと言い出し、一人が試しに呪文を唱えたところ、本当に体が震えて神がかりし、「私は不動尊だが、ション寺の墓の隅に埋まっているから掘り出してくれ」と言い出した。あまりに真剣なので皆で掘ってみると、言葉のとおり一体の不動尊が出てきた。掘り出した仲間の一人の地所である中谷に堂を建て、厨子を据えて祀ったのがこれである。以来、巫女や神主の唱え言を馬鹿にしたり真似たりするものではないといわれている。
原典より
神戸の中谷というところにお不動さまが祀られていて、土地の人々はこれを「掘り出し不動」と言っている。—— 川口市史 民俗編――伝説(川口市(編)・川口市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
川口市史 民俗編――伝説(川口市(編)・川口市史)
『川口市史 民俗編――伝説』は、川口市が編んだ市史民俗編のうち、第四章「伝説」を収めたものである。六兵塚や首塚などの塚、山・池沼・樹木にまつわる話、八百比丘尼の椿、神社・地蔵・観音・薬師の霊験、地名の由来、正月の餅を搗かない家例や蛇まつり、川口の鋳物の始まりなどを、地内の地名や家名とともに記す。自然伝説、信仰伝説、歴史伝説の三節に分け、節の中を塚・山・池沼などの項に立てる。