弟を疑った兄とホトトギス
どんな伝承か
目の見えない兄を思いやる弟がいた。弟は山芋を掘ってくると、自分はかすばかりを口にし、おいしいところを兄に食べさせていた。ところが兄は、これほどうまいものをくれるのだから弟はもっとうまいものを食べているに違いないと逆に疑い、弟を殺してしまった。腹を裂いてみると、出てきたのはかすばかりだった。それで兄は「弟欲しい、弟欲しい」とキュッキュッと八千八声鳴くようになったという。ホトトギスの由来を語る昔話である。
原典より
それで弟欲しい弟欲しいってキュッキュッと八千八声鳴くんだって。—— 常陸太田市史 民俗編――伝説(常陸太田市(編)・常陸太田市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
常陸太田市史 民俗編――伝説(常陸太田市(編)・常陸太田市史)
『常陸太田市史 民俗編――伝説』は、常陸太田市の市史民俗編のうち、第五章「ことばの伝承」の伝説と昔ばなしの部分である。第一節「伝説」は市域の伝説を自然的伝説・社会的伝説・歴史的人物伝説・信仰的伝説の四つに分け、国見山・赤沼・源太郎狐・十王坂・舞鶴城・義家・親鸞・徳川光圀・真弓山の天狗などの話を記す。社会的伝説には地名のいわれや塚・城跡の伝承が多く、第二節「昔ばなし」は冒頭の三話だけを収める。