母の葬式に遅れた娘と啄木鳥
どんな伝承か
ある娘の母が亡くなり、葬列はもう寺に着いていたのに、ひとり娘だけが来ない。迎えをやると娘は化粧の最中で、済んだら行くと答えた。二度目には着替えの途中、三度目には帯を締めているところだと言って腰を上げない。寺では待ちきれずに棺を埋め終え、そこへようやく娘が駆けつけた。娘は墓土に膝をついて悔しがり、泣き叫ぶうちに美しい小鳥に変わった。これが啄木鳥で、寺の中をのぞこうと板壁に穴をあけ、日に得る三匹の虫のうち一匹を仏に、一匹を親に供え、残る一匹だけを自分で食べるのだという。
原典より
ところがさうして泣いて居るうちに、段々と娘の姿が変って、一羽の美しい小鳥になつた。—— 佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。