ねずみの穴に転がった団子
どんな伝承か
じいさまが台所で小豆を一粒、ばあさまが茶の間で米を三粒拾い、それで小豆あん入りの団子を作ることになった。ばあさまが石臼で粉をひいて団子をこしらえ、囲炉裏で焼いて灰を吹いていたところ、団子が手からこぼれて転がり、ねずみの穴へ入ってしまった。じいさまが追いかけて穴の前で尋ねると、ねずみは団子はもう食べてしまったが、代わりにもてなすと答えた。穴の中へ入ると、ねずみたちが、イタチとテンと猫さえいなければ極楽だと歌いながら餅をついており、じいさまはたっぷりとごちそうになったという。
原典より
「ねずみの浄土、イタチとテンと猫がいなけりゃ、極楽だ」って、トッチントッチンともちついていたったっちゃ。—— 平林民俗誌稿(長野県下高井郡野沢温泉村) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
平林民俗誌稿(長野県下高井郡野沢温泉村)
『平林民俗誌稿(長野県下高井郡野沢温泉村)』は、野沢温泉村平林の民俗誌稿のうち、第十三章「口頭伝承」の部分である。昔話は桃太郎・瓜子姫・ねずみ浄土・三人の継子の四話を土地の言葉のまま記し、三話に話者名を添え、桃太郎には語り口の異なる変型も挙げる。伝説はどうろさんどの三度っ栗・城の腰・矢石・耳なし地蔵など五話で、この地では昔話と伝説の区別が意識されていないと記し、末尾に細川修の名を置く。