転べば食われる払沢の送り犬
どんな伝承か
払沢では、山犬の群れに千匹の頭がいて、その白い毛の頭が吠えるとどこからともなく仲間が集まってくると伝えてきた。夕方遅くなった者の後をつけて里まで送ってきたり、朝早く草刈場へ向かう者が氏神の大山祇神社を過ぎるあたりからついてきたりしたという。そんなときは煙草に火をつければ寄ってこないとされた。ただし、送られている途中でその場に転んでしまうと、山犬は飛びかかって食い殺すのだと戒められた。一晩に三里から五里は動くともいわれている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
払沢民俗誌稿(長野県諏訪郡原村)
『払沢民俗誌稿(長野県諏訪郡原村)』は、長野県諏訪郡原村の払沢の民俗を聞き取りでまとめた民俗誌の稿である。講と信仰、カザキリや厄病除けなどの祈願と呪い、行者と狐憑き、わらべ唄、昔話の語り方、武田信玄の棒道や諏訪明神、デーラボッチ、狐、山犬の伝説、ことわざを収める。章ごとに番号付きの項目を立てて記述し、要所に註を付けて土地の事情や他地域の類例を補い、話者の名と生年を添える箇所もある。