年取りの晩に上五明を駆けた山犬
どんな伝承か
明治五年の年取りの晩、上五明では山犬が室賀峠の方から下ってきたという知らせがあり、上平村の方から「山犬だ、山犬だ」と騒ぐ声が聞こえてきた。どの家も大戸を固く閉め、外へ出る者は一人もいなかった。やがて元旦を迎えるころ、山犬は村じゅうを駆けめぐったあと千曲川を渡り、坂城の方へ暴れながら走り去っていったという。
原典より
山犬が室賀峠の方から下って来たので、上平村から「山犬だ山犬だ」と騒ぐ声が聞こえて来たので、どこの家も大戸をしめて、外へ出る者は一人もなかった。—— 坂城町誌 上巻(民俗編)――伝説(坂城町(編)・坂城町誌) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
坂城町誌 上巻(民俗編)――伝説(坂城町(編)・坂城町誌)
『坂城町誌 上巻(民俗編)――伝説』は、長野県坂城町の町誌上巻(自然編・民俗編)から、民俗編の数章を抜き出したものである。祟る所や神罰、ヒトダマ・狐火などの怪異、魔除け、植物の禁忌といった俗信を地区ごとの事例として番号を付けて並べ、続いて甘利さま、天田長者とほうず池、苅屋原の七不思議、貉和尚、夜泣き石など三十余りの伝説を収める。伝説の章は調査員の調査をもとに、以前の調査記録も二、三篇併せて載せる。