弘法が筆を投げて岩に記した八の字
どんな伝承か
ある日、弘法さまがお越しになり、ありがたい話をしてくださった。そこで人々が、これから横吹の難所を越えて坂木宿へ行かれるのは大変だと申し上げたところ、弘法さまは筆を取り、エーッとひと声かけて傍らの岩に投げられた。するとその岩に八の字が書けていた。弘法さまは、心配はいらない、八は開くに通じる、私はどんな苦難な道も開いて通ると申され、横吹の難所を越えて行かれた。今に伝えられる弘法の八の字、または弘法の投げ筆はこれである。この岩も近くの舟つなぎ石も、信越本線が敷かれるときに壊されて今は跡形もない。
原典より
そしてこれから横吹の難所を越えて、坂木宿に行かれるのは大変だと申しあげたところ、弘法さまが筆をとられてエーッとひと声かけて、そばの岩に投げられた。—— 坂城町誌 上巻(民俗編)――伝説(坂城町(編)・坂城町誌) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
坂城町誌 上巻(民俗編)――伝説(坂城町(編)・坂城町誌)
『坂城町誌 上巻(民俗編)――伝説』は、長野県坂城町の町誌上巻(自然編・民俗編)から、民俗編の数章を抜き出したものである。祟る所や神罰、ヒトダマ・狐火などの怪異、魔除け、植物の禁忌といった俗信を地区ごとの事例として番号を付けて並べ、続いて甘利さま、天田長者とほうず池、苅屋原の七不思議、貉和尚、夜泣き石など三十余りの伝説を収める。伝説の章は調査員の調査をもとに、以前の調査記録も二、三篇併せて載せる。