葛尾落城の夜に松明を結んだ灯の松
どんな伝承か
天文二十三年四月九日、村上義清が武田信玄と戦って葛尾城が燃え上がると、それを見た義清の奥方はわずかな腰元だけを連れ、身なりも整えないまま姫城をひそかに抜け出した。苅屋原の方へ逃れようと松明の明かりを頼りに夜の急坂を下ったが、途中で一本の松に松明をくくりつけ、その明かりでどうにか千曲川のほとりまで降り着いた。振り向くと姫城もすでに炎に包まれていたという。姫城跡の肩の少し下に見える大きな赤松がその松で、灯の松(灯しの松)と呼び伝えられている。苅屋原の七不思議の一つである。
原典より
このときのタイマッを結びつけた松が、いま語り伝えられている「灯しの松」である。—— 坂城町誌 上巻(民俗編)――伝説(坂城町(編)・坂城町誌) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
坂城町誌 上巻(民俗編)――伝説(坂城町(編)・坂城町誌)
『坂城町誌 上巻(民俗編)――伝説』は、長野県坂城町の町誌上巻(自然編・民俗編)から、民俗編の数章を抜き出したものである。祟る所や神罰、ヒトダマ・狐火などの怪異、魔除け、植物の禁忌といった俗信を地区ごとの事例として番号を付けて並べ、続いて甘利さま、天田長者とほうず池、苅屋原の七不思議、貉和尚、夜泣き石など三十余りの伝説を収める。伝説の章は調査員の調査をもとに、以前の調査記録も二、三篇併せて載せる。