猟師に撃たれた山犬の神さま
どんな伝承か
ある猟師が山の神に山犬の子がほしいと願うと、二匹を授かった。よく言うことを聞くのでうれしく連れ歩いた。ある日、本山へ猟に行ったがうまくいかず、木の下で火をたいて寝ようとすると、二匹の山犬がしっぽに水をつけては火を消しにくる。不審に思って木に登って見ていると、山犬は猟師が身代わりに蓑をかぶせておいたところにかみついた。自分を食おうとしたのだと思った猟師は鉄砲で撃ち殺したが、その後たたりが続いたので、殺した場所へ行って骨を拾い供養した。今も山犬の神さまとしてまつられ、憑き物があるとその箱の埃を払うと落ちるという、あらたかな神だという。
原典より
こりゃ大変だ、おれを食いにかかったんだって、猟師は鉄砲で打ち殺しちゃたって。—— 坂部民俗誌稿(長野県下伊那郡天竜村)――昔話・伝説 より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
坂部民俗誌稿(長野県下伊那郡天竜村)――昔話・伝説
『坂部民俗誌稿(長野県下伊那郡天竜村)――昔話・伝説』は、天竜村坂部の民俗をまとめた民俗誌稿のうち、第十二章「口頭伝承」の一部を収めたものである。さるかに合戦、へび女房、桃太郎、花咲かじじいなどの昔話を語り手の名を添えて土地の語り口のまま記し、先途の七人塚、お万さま、天龍川のかわらんべ、早太郎のひひざる退治など落人や土地にまつわる伝説を並べる。昔話を動物昔話・本格昔話・笑話に分け、伝説、なぞと続ける。