水を拒んだ家に咲く赤い夕顔
どんな伝承か
昔、大河内の目の神様が坂部へ出かけた帰り、向方のある家に立ち寄って水を一杯求めたが、その家は飲ませなかった。それ以来、向方で夕顔を作るとかならず赤い花が咲くという。また、落ちのびるお万さまと長五郎が向方のある家の前を通ると、庭に夕顔が咲いていた。長五郎が一つ欲しいとねだると、百姓が出てきて母子をたたいた。お万さまは嘆き、この家の夕顔は来年きっと赤くなると恨んだ。翌夏から真っ赤な花が咲き、その家では夕顔を作らなくなった。その後、大河内で道案内を申し出た村人の惣五郎は、道を怪しんだ長五郎の目の前で賊に変じ、母子を斬り殺したという。
原典より
お万さまは悲しんで、「この家の来年の夕顔の花は、きっと赤くなる」とうらんだという。—— 坂部民俗誌稿(長野県下伊那郡天竜村)――昔話・伝説 より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
坂部民俗誌稿(長野県下伊那郡天竜村)――昔話・伝説
『坂部民俗誌稿(長野県下伊那郡天竜村)――昔話・伝説』は、天竜村坂部の民俗をまとめた民俗誌稿のうち、第十二章「口頭伝承」の一部を収めたものである。さるかに合戦、へび女房、桃太郎、花咲かじじいなどの昔話を語り手の名を添えて土地の語り口のまま記し、先途の七人塚、お万さま、天龍川のかわらんべ、早太郎のひひざる退治など落人や土地にまつわる伝説を並べる。昔話を動物昔話・本格昔話・笑話に分け、伝説、なぞと続ける。