盗賊に仇を討った子と先途の七人塚
どんな伝承か
昔、先途には家が三軒あり、そのうちの一軒に八人家族が暮らしていた。ある時、富山から盗賊が押し入り、家の者と取っ組み合いになった。板敷きの家だったので、もみ合ううちに子どもが一人、縁の下へはね飛ばされて閉じ込められた。家の者は皆斬り殺されたが、その子だけは助かった。父親は息絶える前に盗賊の着物の袖を必死に引きちぎって握りしめていた。盗賊が去ったあと縁の下から這い出した子は、その袖の切れ端を手がかりに盗賊を捜し当て、仇を討ったという。この出来事から、先途には七人塚が建てられた。
原典より
そんなことがあって、先途には七人塚が建てられた。—— 坂部民俗誌稿(長野県下伊那郡天竜村)――昔話・伝説 より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
坂部民俗誌稿(長野県下伊那郡天竜村)――昔話・伝説
『坂部民俗誌稿(長野県下伊那郡天竜村)――昔話・伝説』は、天竜村坂部の民俗をまとめた民俗誌稿のうち、第十二章「口頭伝承」の一部を収めたものである。さるかに合戦、へび女房、桃太郎、花咲かじじいなどの昔話を語り手の名を添えて土地の語り口のまま記し、先途の七人塚、お万さま、天龍川のかわらんべ、早太郎のひひざる退治など落人や土地にまつわる伝説を並べる。昔話を動物昔話・本格昔話・笑話に分け、伝説、なぞと続ける。