池で大蛇の姿に戻った働き者の嫁
どんな伝承か
ある家に、旅の途中だという娘が一夜の宿を借り、身寄りがないと言うのでそのまま嫁になった。娘はよく働き、貧しかった家は何を作っても豊作となり、子も生まれた。ところが嫁は毎晩どこかへ出かける。不審に思った主人がひそかに後をつけると、嫁は池のほとりで大きな蛇になり、かえるを取って食べていた。主人がそのことを告げると、嫁は「どうしてあんな姿を見たのか」と悲しみ、蛇になって池に入ってしまった。とたんに風が吹き雨が降って大荒れになったが、子は普通の子として立派に育ったという。
原典より
そうしたら嫁さんは、ある池のはた(端)へ行って、大きなへびになって、かえるを取って食っていたって。—— 坂部民俗誌稿(長野県下伊那郡天竜村)――昔話・伝説 より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
坂部民俗誌稿(長野県下伊那郡天竜村)――昔話・伝説
『坂部民俗誌稿(長野県下伊那郡天竜村)――昔話・伝説』は、天竜村坂部の民俗をまとめた民俗誌稿のうち、第十二章「口頭伝承」の一部を収めたものである。さるかに合戦、へび女房、桃太郎、花咲かじじいなどの昔話を語り手の名を添えて土地の語り口のまま記し、先途の七人塚、お万さま、天龍川のかわらんべ、早太郎のひひざる退治など落人や土地にまつわる伝説を並べる。昔話を動物昔話・本格昔話・笑話に分け、伝説、なぞと続ける。