早太郎のひひざる退治
どんな伝承か
ある坊さんが村を通りかかると、村じゅうの人がお宮に集まって泣いていた。訳を聞くと、祭りの晩に娘を一人ささげないと秋の実りがないと昔から決まっており、今夜はこの老夫婦の娘をささげるのだという。そんな馬鹿なことがあるかと思った坊さんは縁の下に隠れて様子をうかがった。夜半過ぎ、一匹の大ひひざるが現れて娘を取って食い、「信州信濃の早太郎にだけは知らせるな」とつぶやいた。坊さんは早太郎を探して駒ヶ根まで行き、それが人ではなく犬だと知って光前寺で借り受け、ひひざるを倒したという。
原典より
すると案の定、夜半も過ぎるころ、一匹の大ひひざるが現われて、娘をとって食ったという。—— 坂部民俗誌稿(長野県下伊那郡天竜村)――昔話・伝説 より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
坂部民俗誌稿(長野県下伊那郡天竜村)――昔話・伝説
『坂部民俗誌稿(長野県下伊那郡天竜村)――昔話・伝説』は、天竜村坂部の民俗をまとめた民俗誌稿のうち、第十二章「口頭伝承」の一部を収めたものである。さるかに合戦、へび女房、桃太郎、花咲かじじいなどの昔話を語り手の名を添えて土地の語り口のまま記し、先途の七人塚、お万さま、天龍川のかわらんべ、早太郎のひひざる退治など落人や土地にまつわる伝説を並べる。昔話を動物昔話・本格昔話・笑話に分け、伝説、なぞと続ける。