人身御供に代わった托鉢僧と青竜
どんな伝承か
昔、広渕寺の傍らを流れる玉造川は渕をなして何キロとなく深かった。ここに大青竜が棲み、疫病を流行らせるとされ、これを防ぐには辰年辰月辰日辰の刻生まれの処女を人身御供に捧げねばならぬと信じられていた。ある年、白羽の矢が立った少女が渕へ投げ入れられようとしたとき、通りかかった托鉢僧が身代わりを申し出て白木の棺に入り、呪文を唱えた。生臭い風とともに大青竜が現れ棺を巻き込もうとしたが、僧は鋼鉄の如意で眉間を打ち割り、竜は倒れた。以後は疫病も止み、青竜山の山号は竜の霊を祀るためだという。
原典より
昔、広渕寺の傍らを流れた玉造川(江合川)は、渕をなして、何キロとなく深かった。—— 日本伝説大系 第2巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第2巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第2巻』は、岩手・宮城・秋田の三県に伝わる伝説を話の型ごとに集めた伝説資料集である。山の争いや沼の主の手紙、巨人の足跡、八郎太郎、ザシキワラシ、河童、掃部長者などの伝説を、口承の聞き書きと近世以降の地誌・縁起から採る。凡例のとおり各項は伝承地を示した例話を冒頭に据え、〔類話〕〔文献〕〔参考〕を続け、柳田・高木による話型名を添えた項もある。