栗と蜂と臼が猿を退治するさるかに合戦
どんな伝承か
蟹が拾った柿の種を庭にまき、芽を出せ、木になれ、実をつけろ、さもないとハサミで切るぞと唱えながら水や肥やしを与えると、種はみるみる育って実をつけた。ところが実が赤く熟すと猿が来て木に登り、甘い実は自分で食べ、渋い青い実を蟹の背に投げつけたので、蟹は大けがを負った。そこへ栗と蜂と臼が来て猿を懲らしめようと相談し、栗は囲炉裏に、蜂は水がめの縁に、臼は屋根の上に潜んだ。帰った猿が火にあたると栗がはじけて当たり、水がめへ逃げると蜂に刺され、外へ飛び出したところへ臼が落ちてきて、猿はつぶれてしまったという。
原典より
さるは、「こりゃあ、いたくていたくてたまらん」ってって家の外へ逃げて出たら、そのとき屋根の上におったウスが落ちてきて、さるはつぶされてしまったって。—— 坂部民俗誌稿(長野県下伊那郡天竜村)――昔話・伝説 より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
坂部民俗誌稿(長野県下伊那郡天竜村)――昔話・伝説
『坂部民俗誌稿(長野県下伊那郡天竜村)――昔話・伝説』は、天竜村坂部の民俗をまとめた民俗誌稿のうち、第十二章「口頭伝承」の一部を収めたものである。さるかに合戦、へび女房、桃太郎、花咲かじじいなどの昔話を語り手の名を添えて土地の語り口のまま記し、先途の七人塚、お万さま、天龍川のかわらんべ、早太郎のひひざる退治など落人や土地にまつわる伝説を並べる。昔話を動物昔話・本格昔話・笑話に分け、伝説、なぞと続ける。