泣いて国分へ帰った大蛇の鐘
どんな伝承か
どうどの渕は雨乞いをする渕として知られ、そこに大蛇が棲みついていた。別子八郎はこれを退治しようと観世音に祈願をかけ、渕へ向かう。近づくと水面が波立ちさわぎ、鐘をかぶった大蛇が姿をあらわした。八郎は祈りながら第一矢、第二矢を放つ。やがて空は曇り、大雨が一昼夜降り続いたあと、大蛇は香西の沖で死んでいたという。残された鐘は国分寺へ納められたが、高松の殿様が城へ持ち去ってしまった。すると鐘はよい音色を失い、国分へかえる、国分へかえる、と泣くので、もとの国分寺へ戻すことになった。運び出すには人夫五十人を要したのに、帰りはわずか八人で軽々と運べたと伝わる。
原典より
どうどの渕は雨乞いの渕として知られ、大蛇が住んでいた。—— 新編香川叢書 民俗篇――昔話と伝説(香川県(編)・新編香川叢書) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
新編香川叢書 民俗篇――昔話と伝説(香川県(編)・新編香川叢書)
『新編香川叢書 民俗篇――昔話と伝説』は、香川県の叢書の民俗篇のうち、第八編「口承文芸」を収めた部分である。香川県内の昔話と伝説を扱い、昭和初年からの採集の歩み、呼び名や発端・結末の句、桶屋やほうろく売り・遍路などの運び手、語り手の横顔を論じたうえで、綾上町などで聞いた未発表の昔話を話者名付きで掲げる。伝説の章は樹木・石と岩・水と池と渕・塚と穴・祠と堂・坂と山と峠と谷・動物の項目に分け、各話の末尾に伝承地の郡町名を添える。