煙管の音に起きた鰐と蓮成寺
どんな伝承か
蓮成寺の山門を建てていた棟梁が、大霜の朝、弟子とともに向かいの川原で木を組んでいた。川岸に転がる太い木の根に腰かけて一服し、煙管の頭をこつんと叩くと、その根がはね起きた。鰐であった。生臭い毒気を吹きかけると、のそりのそりと川下へ去っていった。棟梁は気を失い、二、三日何も食べられぬまま死んだという。ここから二キロほど上流に鰐河神社があり、昔、神が乗ってきた鰐ではないかと語られている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
新編香川叢書 民俗篇――昔話と伝説(香川県(編)・新編香川叢書)
『新編香川叢書 民俗篇――昔話と伝説』は、香川県の叢書の民俗篇のうち、第八編「口承文芸」を収めた部分である。香川県内の昔話と伝説を扱い、昭和初年からの採集の歩み、呼び名や発端・結末の句、桶屋やほうろく売り・遍路などの運び手、語り手の横顔を論じたうえで、綾上町などで聞いた未発表の昔話を話者名付きで掲げる。伝説の章は樹木・石と岩・水と池と渕・塚と穴・祠と堂・坂と山と峠と谷・動物の項目に分け、各話の末尾に伝承地の郡町名を添える。