月やくを待たれず打首になった腰元
どんな伝承か
むかし、おふじさまという女が飯田の城に腰元として仕えていたが、あるとき殿様の勘気をこうむり、打首にされることになった。おふじさまは、月やくで体が汚れているのであと二日待ってほしいと願い出たが聞き入れられず、そのまま首を刎ねられてしまった。それから毎晩、殿様のもとにおふじさまの霊が現れるようになったので、殿様も供養して霊を祀らなければならないと考え、おふじさまを祀ったという。以来、女が月のものの重いときにおふじさまへ参ると軽くなるといわれる。新野にもその霊を祀った石があり、飯田から分けて迎えてきたものだと伝わる。石の上に石を立てかけた形で祀られ、毎月十八日が命日にあたるという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
新野民俗誌稿――長野県下伊那郡阿南町(口頭伝承)(湯田朝子(第十五章「口頭伝承」))
『新野民俗誌稿――長野県下伊那郡阿南町(口頭伝承)』は、阿南町新野の民俗誌稿のうち、湯田朝子がまとめた第十五章「口頭伝承」の報告である。昭和五十三年一月に新野の古老五人から採話した昔話・伝説・ことわざ・なぞを収め、昔話には日本昔話名彙・日本昔話集成の話型を注し、伝説は信仰的・歴史的・文芸的の三つに分けて話者の名と生年を添える。昔話の語り始めと語り納めの形式や語りの場の変化も記し、ことわざとなぞで結ぶ。