神火を受けて急坂を駆け下りる御灯祭り
どんな伝承か
紀州新宮市の神倉神社で二月六日に行われる御灯祭りは、よく知られた行事である。氏子の男子は白衣に縄の帯を締め、社からの合図でいっせいに急な坂を駆け登って参拝し、神火を受けると再びその急坂を駆け下りる。氏神への熱い思いをこうした緊張のうちに表そうとするもので、神輿が荒れたりぶつかり合ったりするときと同じく、見物する人々は毎年のことながら手に汗を握るという。清らかな火を神社から受ける行事の例として、京都祇園社のおけら火と並べて挙げられている。
原典より
氏神への熱誠をこうした緊張のなかに表わそうとしたものであり、神輿の荒れまたは衝突する場合と同じように、観衆は例年のことながら手に汗をにぎるのである。—— 日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか)
『日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗』は、原田敏明・池上廣正・堀一郎ら十二人の執筆者による論文集である。民間に伝わる神と霊の観念、家や村の氏神、職業の神、祭りの日取りと組織、憑きものや妖怪を題材に、各地の調査報告や古記録に見える事例を引いて論じる。原田の総説に始まる十七編からなり、後半では修験道・庚申信仰・キリシタン・新興宗教と民間信仰とのかかわりを扱う。