比婆郡のワサダウエと三杯の供え
どんな伝承か
広島県比婆郡に伝わる田植えの神迎え行事「ワサダウエ」。日と田を定め、十二本の柴を藁で束ねて鯖の鰭を結び下げたものを水口に立て、神酒をそそぎかける。飯はイイバと呼ばれる柏の葉に盛る土地もあり、酒も飯も三杯、鯖の鰭も三枚、祭る者も飯を三杯食べるというように、すべて「サンバイ(三)」の数が重んじられた。目印となるものを立てて田の神を迎えるこの祭りは、苗印の行事と同じく神の依り代を示すものと考えられている。
原典より
広島県比婆郡では、ワサダウエと呼び、日と田とを定めて十二本の柴を藁で束ね、鯖の鰭を結び下げたものを水口に立て、神酒をそそぎかけ、飯はイイバすなわち柏葉に盛る土地もある。—— 日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗(原田敏明・池上廣正・堀一郎ほか)
『日本民俗学大系 第8巻――信仰と民俗』は、原田敏明・池上廣正・堀一郎ら十二人の執筆者による論文集である。民間に伝わる神と霊の観念、家や村の氏神、職業の神、祭りの日取りと組織、憑きものや妖怪を題材に、各地の調査報告や古記録に見える事例を引いて論じる。原田の総説に始まる十七編からなり、後半では修験道・庚申信仰・キリシタン・新興宗教と民間信仰とのかかわりを扱う。