鳥を呼んで稲の豊凶を占う農始め
どんな伝承か
正月十一日の朝は農の始めとされた。松や餅、豆、ワカサギ、数の子、茶などを携えて苗代へ出て、マンノウか三本鍬で水口をうない、そこにうない松を立てて神供を並べる。南沢・小川・白子では、田へ向かうときに「ホーホー」「ホーイホーイ」と声を上げた。これは山の神の使いである鳥を招く鳥勧請の崩れた形で、招いた鳥が供え物を食うかどうかで、その年の稲の出来を占うものであったという。水口に立てる松は十二月二十八日の松迎えに伐っておき、種籾俵に挿すか土蔵にしまっておいた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
天栄村史 第4巻(民俗編)――憑依と怪異・呪術(天栄村(編)・天栄村史)
『天栄村史 第4巻(民俗編)――憑依と怪異・呪術』は、岩瀬郡天栄村が編んだ村史のうち民俗を扱う巻である。第八章「信仰伝承」では、旧村ごとの鎮守と鎮守以外の神々、寺院・仏堂・修験、家や生業の神々、道切りなどの呪術と禁忌、口寄せをするワカドノ、キツネツキ、オシンメイサマ、小豆洗いなどの妖怪、講を扱う。『白河風土記』や明治十一年の神社明細帳の記載と土地での聞き書きを照らし、近世から近代への移り変わりを記す。