観世音寺の百済伝来の狛犬
どんな伝承か
狛犬の起こりを論じる中で著者が挙げる例。筑紫の観世音寺には高さ二尺四寸の石造の狛犬があり、国宝とされている。これは百済の国王が大宰府の都府楼へ献上したものと伝えられている。著者は、狛犬はもともと門扉や簾、御帳の揺れを押さえる鎮子として朝鮮から渡ってきたもので、神社の前に置くのは後世の転用だと考えており、この観世音寺の狛犬もおそらく鎮子として献じられたものだろうと推測している。
原典より
現に、筑紫觀世音寺にある石造の狛犬(高さ、二尺四寸。國寶)は百濟國王が都府樓へ貢獻したものさ傳へられてゐる。—— 動物妖怪譚(日野巌・日野巌・動物妖怪譚・1926年(大正15年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
動物妖怪譚(日野巌・日野巌・動物妖怪譚・1926年(大正15年))
『動物妖怪譚』は、日野巌が大正六年に筆を起こし、大正十一年の跋と大正十五年の再記を添えて著した伝説の動物の研究書である。鬼・天狗・河童・人魚・雪女・龍・雷獣・狐・狸・獏・鯰・猫など二十六の項目を立て、記紀や万葉集から近世の随筆までの記事を原文の引用ごと示して起源と変遷をたどり、動物学の知識で正体を考える。總論で起原・歴史的変遷・分類などを論じ、結論では迷信から科学へ近づくことを説いて閉じる。