紫宸殿の獅子狛犬が割れる
どんな伝承か
狛犬の用途を論じる中で著者が引く増鏡の記事。正応三年三月の四日か五日ごろ、宮中の紫宸殿に置かれていた獅子・狛犬が、内側から割れたと書き留められている。著者は、狛犬はもともと門扉や簾、御帳が揺れないように押さえる鎮子として朝鮮から伝わったもので、後に魔除けとして神社の前に置かれるようになったと考えており、この紫宸殿の獅子狛犬もおそらく鎮子だったのだろうと述べている。
原典より
おなじ三年(正應)三月四日五日の頃、紫宸殿の獅子狗犬なかよりわれたる云々(增鏡)。—— 動物妖怪譚(日野巌・日野巌・動物妖怪譚・1926年(大正15年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
動物妖怪譚(日野巌・日野巌・動物妖怪譚・1926年(大正15年))
『動物妖怪譚』は、日野巌が大正六年に筆を起こし、大正十一年の跋と大正十五年の再記を添えて著した伝説の動物の研究書である。鬼・天狗・河童・人魚・雪女・龍・雷獣・狐・狸・獏・鯰・猫など二十六の項目を立て、記紀や万葉集から近世の随筆までの記事を原文の引用ごと示して起源と変遷をたどり、動物学の知識で正体を考える。總論で起原・歴史的変遷・分類などを論じ、結論では迷信から科学へ近づくことを説いて閉じる。