笹を海へ流す小浜町の貧乏神送り
どんな伝承か
三重県鳥羽市小浜町には、旧七月晦日に行われた行事があった。一団の子供たちが僧と村役人につきそわれ、「オイヤレ、イキヤレ、貧乏神出てけ、福の神舞いこめ」とはやしながら村中を回る。各戸は家中を掃き浄めたうえ笹の葉を戸外に出しておき、子供たちがそれを集めて、僧の読経のうちに海へ流したという。著者は、鳥羽市やその周辺には、禍いする怨霊を送り出す面の強く残った盆行事が数々あるとして、この貧乏神送りを挙げている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊魂の行方(最上孝敬・最上孝敬・葬送民俗・1984年(昭和59年))
『霊魂の行方』は、最上孝敬の葬送習俗に関する論説を集め、名著出版が昭和五十九年に刊行した論集である。死者の霊を家から送り出す霊送りやカラダビ、骨掛け、男女別墓制と半檀家、無縁仏、盆と施餓鬼、葬儀の水など、千葉・埼玉をはじめ各地で聞き取った習俗と既刊の報告をもとに論じる。「霊送りとその周辺」「葬送の諸問題」「葬祭の民俗」の三章に二十八篇を収め、巻末に初出一覧、大島建彦の解説、年譜、著作目録を付す。