無縁仏を送り出す浜セガキ
どんな伝承か
三重県鳥羽市の神島では、八月十六日の深夜に浜セガキが行われる。浜新椿ともいい、寺の和尚と部落の重立った人々だけであっさり営まれるもので、無縁仏を送り出す行事だという。今は読経焼香ののち、一人ずつ火のついた線香を流すだけになっているが、昔は浜にガキ棚を設けて供物をし、終わると供物を海へ流し、棚は焼いたという。まったく餓鬼を供養し送り出すものであると、萩原夫妻の『神島』は伝えている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊魂の行方(最上孝敬・最上孝敬・葬送民俗・1984年(昭和59年))
『霊魂の行方』は、最上孝敬の葬送習俗に関する論説を集め、名著出版が昭和五十九年に刊行した論集である。死者の霊を家から送り出す霊送りやカラダビ、骨掛け、男女別墓制と半檀家、無縁仏、盆と施餓鬼、葬儀の水など、千葉・埼玉をはじめ各地で聞き取った習俗と既刊の報告をもとに論じる。「霊送りとその周辺」「葬送の諸問題」「葬祭の民俗」の三章に二十八篇を収め、巻末に初出一覧、大島建彦の解説、年譜、著作目録を付す。