子守唄で笑いを止めた上州の嫁
どんな伝承か
坪内という土地に、上州から嫁いできた女がいた。言葉づかいも暮らしの習わしもこの辺りと違うので、周りの者たちはそれを面白がり、何かにつけて嫁を笑いものにした。するとある日、嫁は『上州の国でも麦めしやわりだよ』と節をつけて子守唄を歌ってみせた。生まれた国が違っても人は同じ人間ではないか、という歌の心が皆に通じ、それからは誰も嫁を馬鹿にしなくなったという。
原典より
するとその嫁さんは、「上州の国でも麦めしやわりだよ トテトテ」と子守り歌を歌った。—— 栃木市史 民俗編――伝説・民話(栃木市(編)・栃木市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
栃木市史 民俗編――伝説・民話(栃木市(編)・栃木市史)
『栃木市史 民俗編――伝説・民話』は、市史民俗編の第九章「言語伝承」のうち「伝説・民話」と「木遣り」の二節である。芝塚山の太刀割り石、有馬皇子とこのしろ、源義家や弘法大師にまつわる地名伝説、狐の嫁入りやむじなの怪、あづきっとぎなど、市内に伝わる伝説・民話と昔の子供の思い出を収める。前半の十一話には末尾に原話者(一部は採話者も)の名を記し、節の終わりに鳶の木遣りと田歌の詞章を載せる。