おば捨て山
どんな伝承か
埼玉県桶川市に伝わる姥捨て山の昔話。貧しい暮らしの村では、年老いて働けなくなった人を山に捨てる習わしがあった。ある孝行息子は年老いた母を背負って林の奥へ入るが、母は「お前も疲れるだろう」と息子を気遣い、持たせた握り飯さえ「家に持ち帰ってみなで食べな」と勧める。その姿に胸を打たれた息子は、いやがる母を再び背負って村へ連れ帰り、村人に許しを乞うた。村人たちもこの孝行に同情し、以後どの家も年寄りを捨てることはなくなったという。加納に伝わる話で、川田谷にも同様の話があったと記されている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
桶川市史 第6巻(民俗編)――伝説・昔話(桶川市(編)・桶川市史)
『桶川市史 第6巻(民俗編)――伝説・昔話』は、桶川市の市史のうち民俗を扱う巻で、ここにはその昔話・伝説の部分と第四節「予兆・占い・禁忌・呪い・民間療法」が収められている。昔話・伝説は調査ではほとんど聞かれなかったため、「広報おけがわ」に連載した話を中心に、イットコショダンゴ、古池の大蛇、熊野神社の池の膳椀貸し、狐狸に化かされる話など二十余りを区分せずに載せる。俗信の節は、言い伝えを桶川・加納・川田谷の地区ごとに箇条で並べる。