いぶされて逃げた稲荷の眷属
どんな伝承か
五十沢の株木にある遠藤家の稲荷は、暮らしのさまたげになるとして叱られたうえ、いぶしにかけられたという。稲荷の眷属たちは、渡し舟で一晩かかって逃げたと伝える。原典は、豊作と家内安全を願って稲荷が字や家に祀られた一方で、雨にも日照りにも耐えて作物のために働く百姓の暮らしのなかでは、神でさえこうして扱われることがあったと記す。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
梁川町史12(民俗編2 口伝え)――伝説(遠藤庄治・梁川町史)
『梁川町史12(民俗編2 口伝え)――伝説』は、梁川町史の口伝え篇に収められた、遠藤庄治による梁川の伝説の解説である。信達平野と阿武隈川を背景に、だいとく坊の巨人伝説、雷神や龍蛇神の話、川から現れる地蔵や観音、弘法伝説、うなぎや大入道の妖怪譚などを、町内の伝説を地区名と番号で引きながら論じる。「聖なる水の伝説」「伝説の描く梁川」「伝説と昔話と生活」の三節からなり、終節で昔話との違いと口伝え篇の編み方を述べる。